皆さんこんにちは。CLCのegueguです。
2023年5月にα版をローンチして1年ちょっとWeb3の教育サービスを運営してきましたが、2024年7月5日にクローズすることにしました。
https://x.com/clc_dao/status/1808042406610457023
今回は、Crypto Learning Clubのサービス終了に際して考えたことについて書いていきたいと思います。
なぜWeb3の教育?
まずはじめに、なぜWeb3の教育に注目したのかという点ですが、みなさんもご存知の通りCryptoの領域では学ばないといけないことがたくさんあるのにもかかわらず、体系化されておらず、初心者の方がWeb3ってなんだろうと興味をもったときに、足を踏み入れることが極めて難しいです。
また、初心者→中級者→上級者の道が整備されているとは言えず、カオスな情報の渦の中でどのように勉強していけばいいのかを自分で探し出して勉強していくのは大変です。
もともと、僕自身は2017年頃から暗号通貨の領域に入って、もっと深く学ぶためにはエンジニアリングの知識が必要だということに気づいて、そちらの方面も勉強しようと思い、まずは progateやdotinstallを片っ端から倒していきました。もちろん、これだけでエンジニアになれるはずもありませんから、当然他の学習も必要ですが、少なくとも最初に手を付ける教材としてはとても優れていると思います。
Web3の領域でも、先に挙げたようなサービスと同じようなものがあれば、初心者が入ってきやすく、Cryptoの面白さやセルフカストディの重要性、投資の必要性、詐欺に騙されないための心構えなど色々と学ぶことができると考えたのが最初でした。
もう一つは、コミュニティ形成をするうえでコミュニティ内部の教育が大きな鍵になると考えたからです。Web3の性質上、プロジェクトやプラットフォームごとに一定のコミュニティが形成されますが、コミュニティ内部での知識レベルの底上げはどこでも課題になっていると感じていました。
CLCの軌跡
α版のWeb3の教育サービスをローンチしてから1年間でユーザー数は2500+人、YouTube登録者数は1300+人、Xのフォロワーは1000+人程度と多いとは言えないですが着実に増えました。
また、コンテンツも自分たちで作るものが多かったですが、コミュニティ内部からも記事を書いてシェアしてくれる方もたくさんいらっしゃり、動画コンテンツとしては150本以上、記事も150件以上蓄積されています。
一方で、特定の動画コンテンツおよびそのテストをクリアしたユーザーにはそのプロダクトやサービスに関するトークンがもらえるというエアドロップ機能も開発したのですが、コンテンツの作成やプロジェクトの誘致に時間を割けず、あんまり活用することができなかったというのは反省点の1つです。
CLCのサービス停止の理由
一言でいうと僕たちの手に余る事業だったからになります。
サービスの開発をしながらSNSで発信しつつ、コンテンツも作成する、とこのあたりを全部自分たちでやるのはだいぶしんどいなと感じてきました。もともと開発チームなので開発関連は楽しくできていたのですが、事業として注力すべきマーケティングやコンテンツ作成がどうしてもおざなりになってきました。もちろん、将来的にはWeb3の教育という分野は大きなポテンシャルがある市場だと思いますが、適材適所という言葉はまさにその通りで、自分たちが強みを持つ分野(=開発関係)を愚直にやっていくのが巡り巡って良いということに気づきました。
マーケティングの難しさ(=Cryptoの面白さを伝える難しさ)
僕自身がCryptoに惹かれた理由は、この領域にいれば、経済・技術・暗号・政治など様々な分野で知的好奇心を満たしてくれるという部分が大きく、CLCではCryptoの面白さを主軸に伝えたいなと考えていました。
しかし、多くのWeb3を学びたいユーザーはどうやって儲けるのか、という部分に終始しており、現在の市場の状況では純粋にWeb3の面白さを広めることに難しさを感じました。また、知的好奇心からCryptoに入ったユーザーは自分で勉強できる人が多いので、学習を一からサポートするようなサービスはそれほど必要とされていない傾向がありました。
コンテンツ生成の難しさ
Crypto領域のニュースや必要とされる知識などは多岐にわたり、すべてを網羅的に体系化することがそもそも難しいということに実際にやってみて気がつきました。
2017~2018年ごろはBitcoinとEthereum、あとは少々のプロジェクトを追っているだけで十分でしたが、現在は、Bitcoin周りのエコシステムも発展してきていますし、Ethereumの周りには何十というL2が並び、L1のなかではSolanaやAvalanche、Cosmosなどが独自の経済圏を発達させています。これらの情報を数人ですべてカバーするとなると物理的に人手が足りず厳しいということに気づきました。
開発に凝りすぎた
CLCのサイトにログインすると、コースとして束ねてある複数の短編動画を見つつテストを解くことで自分の知識を確認できるというメイン機能のほか、記事が読めたり動画が見れたり、エアドロップを受け取ることができたりと多様な機能があります。
エンジニアあるあるですが、あれもこれもと便利と思う機能を付け足していった結果、逆に複雑になりすぎてしまった上に、本来のコア要素であるコンテンツの作成に十分に時間をかけることができなくなってしまいました。
教訓
人が何かを学ぶには強い動機がいる
一般的に知的好奇心から掘り下げて勉強していける人はごくわずかです。
ユーザーがWeb3を学んだ後に何ができるのか、ということを考えたときにWeb3の現在の明確な需要は残念ながら投資・投機のみです。(※ 反論大歓迎です、むしろ有用なユースケースは出てきてほしい!)
個人的には、VitalikのDecentralized Societyの考え方が好きで将来的にはオンチェーン上で信頼を蓄積していくことで、まだ見ないWeb3 アプリケーションがたくさんできてくるだろうと期待はしているのですが、少なくとも今はまだそのフェーズではないと理解しています(おそらく10年後とかなのかなと考えています)。
プログラミングを学ぶとエンジニアになって給料が上がる、動画編集を学ぶとYouTubeの編集で毎月コンスタントに副業ができる、資格を取ると給料がアップするなど、知識やスキルを見につけた先に稼ぐことができるという明確なロードマップがあれば人は勉強します。
しかし、今Web3を学んだところでそのスキルで稼ぐというところにはなかなか結びつきません。Bitcoinの仕組みがいかによくできているのか知ったところでお金が貰えるわけではありませんし、Ethereumのスマートコントラクトの革新性を理解したところで、給料が上がるわけでもありません。
Web3やCryptoの仕組みを知的好奇心から学びたいというニーズは限られていることを再認識したとともに、CLCのような教育サービスは少し時代を先取りしすぎたと感じました。Web3の知識を学ぶと仕事につながるような世界線が広がってから、教育系のサービスをスタートしても十分なのかなと思っています。
得意分野に絞ってやる
マーケティングやコミュニティビルディングは僕からすると結構大変な部類に入ります。例えば、SNSで一日何十投稿もするのはあんまり好きではありませんし、読んでもない投稿にいいねをつけて回って地道に認知を広げていくなども大変なので、自分でやるのは乗り気になれません。また、コミュニティを作るためには割と大げさなことを言って注目を集めて色々新しい人を巻き込んでいくことが必要だということは頭では理解していますが、なかなか実行まで結びつきませんでした(そういう意味だとインフルエンサーはすごいです!)。
一方で、開発に関しては社内でコーディングルールを整備しチームとして開発していく体制を作ったり、一般にオフショア開発のレベルが低いと言われているなら実際に現地に行き開発チームを一から組成したり(Yamamotoがベトナムに住みつつ開発チームをまとめています)と、品質の良いコードを書く知見は溜まってきています。
0から何かを自分で作るには幅広い領域での強みが必要でとても大変ですが、すでにあるものを効率化したりより使いやすくすることはソフトウェアの力で達成することは可能だと感じます。
自分たちの強みは、きちんとした設計のもと最後まで開発ができるというところなので、もう一度初心に戻って開発メインで頑張っていくのが良いのだろうと考えています。
餅は餅屋ですね。
これからの方針
1年間の活動を通して、Cryptoって面白いよねって思ってくれる人を中心とした良質なコミュニティを小規模ながら作ることができたのは、当初の狙いどおりで良かったなと思いますし、引き続き、YouTubeやX、公式LINE経由での発信は継続していきます。CLCのサービスサイトをクローズしコンテンツ作りに注力することで、余分な開発コストを削減することができより質の高い情報を届けられるのではないかと思います。
また、もともと開発チームとしてブロックチェーン、Web系問わずソフトウェア開発も多々やってきていますので、開発方面から面白いプロジェクトを幅広くお手伝いできればと考えています。システムの設計から開発まで相談したいという方はぜひお気軽にご連絡いただければと思います。
現在、dYdXのValidatorをやっていることもあり、DeFi領域のソフトウェア開発は将来性があるとともに純粋に面白そうだと感じています。
P.S.
Crypto Learning Clubの教育サービスは、我ながらシステムとしてはよくできていると思うので、コミュニティ内や、取引所内での教育目的でOEMとして使いたいというニーズがありましたらぜひ教えて下さい。特にすでにコンテンツやユーザーをお持ちで、コミュニティ内部の管理システムとして利用したい場合は相性が良いと思います。
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